20世紀のヨーロッパ

対象年度: 2004
授業科目種別: 法学部専門科目
対象学部: 法学部
担当教官: 福田 宏 (ふくだ ひろし/ FUKUDA Hiroshi) (大学院法学研究科・法学部 政治学講座)
授業科目名(和文): 学部演習
講義題目名(和文): 20世紀のヨーロッパ
キーワード: ヨーロッパ、20世紀、国民国家、デモクラシー、ファシズム、コミュニズム、戦間期、第二次世界大戦、ナチズム、戦争、ナショナリズム
種類: 演習
単位数: 2
対象学年: 3, 4年次
開講時期と場所: 2学期 木曜4講時 14:45-17:00, 文系共同棟 W402
履修区分: 選択
授業の目標:  この演習では、20世紀のヨーロッパ史を批判的に読み直すこと、を目標とする。

【具体的な内容】
 ナチス・ドイツに対する連合国の勝利は、ファシズムに対する自由の勝利と記憶されている。しかしながら、第二次大戦下のフランスにおいては、積極的な対独協力の動きが存在したし、オーストリアにおいても、ナチス・ドイツとオーストリアの「合邦」が多くの国民によって熱狂的に支持されたのである。だが、戦後には、そうした事実は忘れ去られ、第二次大戦は、ヨーロッパが再び自由を獲得する過程として語られるようになった。イタリアのボローニャに建てられていたムッソリーニの騎馬像が、ファシズムに抵抗した「英雄」の像に取り替えられたのは、この点を示す象徴的な例である。

 こうした歴史の「構築」は、いわゆる東欧革命(1989年)についても見られる。東欧革命により、旧ソ連の支配下に置かれていた東ヨーロッパは「解放」され、自由な西側に「復帰」したのだ、というのがそれである。

 だが、そうした単純化された歴史では、実際の政治過程において、ファシズムやコミュニズムといった理念が、なぜあれほど力を持ったのかという点が見落とされてしまう。この演習では、20世紀ヨーロッパ史の見直しを要求する挑発的な歴史書(英語文献)を取り上げ、この地域の実像に迫っていきたいと思う。

到達目標:  ヨーロッパの探究を通して、デモクラシー、ファシズム、コミュニズムといった理念がどのように理解され、使われてきたのかを考えたい。また、この演習では、比較的まとまった量の英文を読みこなすことも目標とする。(読む量については、各参加者の希望に応じて決める。)
授業計画: (1) 報告者は、英文を精読し、日本語訳を作成する。(最初は全訳、途中から要約とする)
(2) 事前に指定したコメンテーターより、報告者の報告について論点を提示する。
(3) その後、全員による討論を行う。出席者は、全員、事前に発言する内容を考えておくこと。
評価の基準と方法: 演習時の参加度合いと期末レポートにより評価。
教科書: Mark Mazower, Dark Continent: Europe’s twentieth century (Vintage Books: New York, 2000).(必要な部分のコピーを配布する)
講義指定図書: ジョゼップ・フォンターナ著、立石博高、花方寿行訳『鏡のなかのヨーロッパ ― 歪められた過去』平凡社、2000年。
J. ル・リデー、田口晃、板橋拓己訳 『中欧論 ― 帝国からEUへ』 (文庫クセジュ)、白水社、2004年。
エリック・ホブズボーム、河合秀和訳『極端な時代 ― 20世紀の歴史』(2巻組)三省堂、1996年。
ハンナ・アーレント著、大久保和郎他訳『全体主義の起原』 (3巻組) みすず書房、1972-74年。