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http://www.hfukuda.info/gakuen12b/
「もう一つのヨーロッパ ― 中欧の比較政治学」
北海学園大学法学部・2012年度第2学期集中
(2013年2月4日~7日、13日~16日)
(3~4講目、6~7講目)
福田 宏
hfukuda@cias.kyoto-u.ac.jp
●授業のねらい
(授業のテーマ)
旧社会主義圏の中東欧諸国が民主化を開始して早くも20年あまりの歳月が経過した。これらの国々は2004年にEUに加盟し、欧州への「回帰」を果たしたが、昨今の経済危機により大きなダメージを被り、旧西側諸国との格差が再び露わとなってきている。この講義では、主としてチェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリーのいわゆるヴィシェグラード4カ国に着目し、中東欧がどこに向かうのかについて考えてみたい。
(学習目標)
1. 歴史・文化・地理的条件が似通った4カ国を比較検討することにより、比較政治学的視点を養う。
2. 小国の視点からEUを検討することにより、欧州政治の複雑性を理解する。
3. 歴史文化的側面にも配慮することにより、中東欧諸国の政治をより深く理解できるようにする。
●授業計画
(講義資料へのリンク:パスワードについては講義中に通知する)
はじめに ― 比較することの意味 (2月4日)
[配布資料]
中欧4カ国の概観 ― EUにおける模索 (2月4日)
[配布資料]
中欧経済とユーロの行方 ― スロヴァキアの損得勘定 (2月5日)
[配布資料]
中欧の小さな原発大国 ― チェコとスロヴァキア (2月5日)
[配布資料]
1989年革命とは何だったのか? ― 冷戦の起源から体制転換まで (2月6日)
[配布資料]
バルカンは何故戦わねばならなかったのか ― 旧ユーゴ紛争 (2月6日)
[配布資料]
ロシアの脅威? ― パイプラインの政治学 (2月7日)
[配布資料]
ロマ問題と多文化主義 ― 中東欧のタブー? (2月7日)
[配布資料]
中欧の歴史問題 ― 第二次世界大戦の記憶 (2月13日)
[配布資料]
ハプスブルク帝国の遺産と近代 (2月13日)
[配布資料]
戦間期における民主化の「実験」 ― 「例外」としてのチェコスロヴァキア? (2月14日)
[配布資料]
中欧における欧州統合構想 ― 戦間期における国民国家 (2月14日)
[配布資料]
予備(環境ビジネスの興隆 ― 欧州は京都議定書で得をしたのか)(2月15日)
[配布資料]
おわりに ― より良き生活を確保するために? (2月15日)
[配布資料]
試験 (2月16日)
●準備学習の内容
価値観が異なる国の政治を学ぶためには、映画や小説などによって人々の生活が見える「資料」に触れることも必要である。可能であれば、実際にその国を訪れてみることも良い経験になるだろう。受講に当たっては、授業で配布する文献一覧などを元に、可能な限り広い範囲の「資料」に触れるようにして欲しい。
●評価方法・基準
最終日の試験(70%)と授業時間内の出席票(30%)で評価する。
●参考文献一覧(2013年1月28日現在)
全体に関わるもの・基本書・参考書
馬場康雄、平島健司編『ヨーロッパ政治ハンドブック[第2版]』東京大学出版会、2010年、図書館有り
平島健司、飯田芳弘『ヨーロッパ政治史[改訂新版]』放送大学教育振興会、2010年、図書館有り
網谷龍介、伊藤武、成廣孝編『ヨーロッパのデモクラシー』ナカニシヤ出版、2009年、図書館有り
仙石学、林忠行編『ポスト社会主義期の政治と経済:旧ソ連・中東欧の比較』(スラブ・ユーラシア叢書9)、北海道大学出版会、2011年、図書館有り
羽場久美子、小森田秋夫、田中素香編『ヨーロッパの東方拡大』岩波書店、2006年、図書館有り
薩摩秀登編著『チェコとスロヴァキアを知るための56章』明石書店、第2版、2009年、図書館有り
羽場久浘子編著『ハンガリーを知るための47章』明石書店、2002年、図書館有り
広瀬佳一編著『ウィーン・オーストリアを知るための50章』明石書店、2002年、図書館有り
渡辺克義編著『ポーランドを知るための60章』明石書店、2001年、図書館有り
柴宜弘編著『バルカンを知るための65章』明石書店、2005年、図書館有り
南塚信吾編『ドナウ・ヨーロッパ史』山川出版社、1999年、図書館有り
伊東孝之、井内敏夫、中井和夫編『ポーランド・ウクライナ・バルト史』山川出版社、1998年、図書館有り
柴宜弘編『バルカン史』山川出版社、1998年、図書館有り
「今後」を考えるために
國分功一郎『暇と退屈の倫理学』朝日出版社、2011年
ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊:滅亡と存続の命運を分けるもの』草思社文庫(上・下)2012年
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄:13000年にわたる人類史の謎』草思社文庫(上・下)2012年
堤未果『政府は必ず嘘をつく:アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること』角川SSC新書、2012年
宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』岩波新書、2010年
中欧の20世紀史
ジョゼフ・ロスチャイルド『現代東欧史:多様性への回帰』共同通信社、1999年、図書館有り
ジョゼフ・ロスチャイルド『大戦間期の東欧:民族国家の幻影』刀水書房、1994年、図書館有り
トニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史』(上・下)みすず書房、2008年、図書館有り
エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史:極端な時代』(上・下)三省堂、1996年、図書館有り
マイケル・マイヤー『1989:世界を変えた年』作品社、2010年
ヴィクター・セベスチェン『東欧革命1989:ソ連帝国の崩壊』白水社、2009年、図書館有り
竹内修司『1989年:現代史最大の転換点を検証する』平凡社新書、2011年
塩川伸明『冷戦終焉20年:何が、どのようにして終わったのか』勁草書房、2010年
欧州統合に関するもの
遠藤乾編『ヨーロッパ統合史』名古屋大学出版会、2008年、図書館有り
遠藤乾編『原典ヨーロッパ統合史:史料と解説』名古屋大学出版会、2008年、図書館有り
遠藤乾、板橋拓己編『複数のヨーロッパ:欧州統合史のフロンティア』北海道大学出版会、2011年、図書館有り
広瀬佳一『ヨーロッパ分断1943:大国の思惑、小国の構想』中公新書、1994年、図書館有り
【番外編】進藤榮一『東アジア共同体をどうつくるか』ちくま新書、2007年、図書館有り
【番外編】シュミット村木眞寿美編訳『クーデンホーフ光子の手記』河出文庫、2010年、図書館有り
【番外編】マーティン・バナール『黒いアテナ:古典文明のアフロ・アジア的ルーツ 第1巻:古代ギリシアの捏造 1785-1985』新評論、2007年
ハプスブルク帝国(末期)に関するもの
ロビン・オーキー『ハプスブルク君主国 1765-1918:マリア=テレジアから第一次世界大戦まで』NTT出版、2010年、図書館有り
大津留厚『ハプスブルクの実験:多文化共存を目指して』中公新書、1995年、図書館有り(絶版)
大津留厚『増補改訂 ハプスブルクの実験:多文化共存を目指して』春風社、2007年、図書館有り(上記文献の改訂版)
ハンス・コーン『ハプスブルク帝国史入門』恒文社、1982年、図書館有り
アラン・スケッド『図説 ハプスブルク帝国衰亡史:千年王国の光と影』原書房、1996年
スティーヴン・ベラー『フランツ・ヨーゼフとハプスブルク帝国』刀水書房、2001年、図書館有り
カール・E. ショースキー『世紀末ウィーン:政治と文化』岩波書店、1983年、図書館有り
ユーゴ紛争に関するもの
佐原徹哉『ボスニア内戦:グローバリゼーションとカオスの民族化』有志舎、2008年、図書館有り
月村太郎『ユーゴ内戦:政治リーダーと民族主義』東京大学出版会、2006年、図書館有り
高木徹『ドキュメント 戦争広告代理店:情報操作とボスニア紛争』講談社文庫、2005年、図書館有り(単行本)
多谷千香子『「民族浄化」を裁く : 旧ユーゴ戦犯法廷の現場から』岩波新書、2005年、図書館有り
久保慶一『引き裂かれた国家 : 旧ユーゴ地域の民主化と民族問題』 有信堂高文社、2003年、図書館有り
越村勲、山崎信一『映画「アンダーグラウンド」を観ましたか? : ユーゴスラヴィアの崩壊を考える』彩流社、2004年、図書館有り
最上敏樹『人道的介入:正義の武力行使はあるか』岩波新書、2001年、図書館有り
歴史問題、教科書問題に関するもの
近藤孝弘『自国史の行方:オーストリアの歴史政策』名古屋大学出版会、2001年、図書館なし
近藤孝弘『国際歴史教科書対話:ヨーロッパにおける「過去」の再編』中公新書、1998年、図書館有り
柴宜弘編『バルカン史と歴史教育:「地域史」とアイデンティティの再構築』明石書店、2008年
フレデリック・ドルーシュ総合編集『ヨーロッパの歴史:欧州共通教科書』第2版、東京書籍、1998年、図書館有り
羽田正『新しい世界史へ:地球市民のための構想』岩波新書、2011年
ヴォルフガング・ヴィッパーマン『議論された過去:ナチズムに関する事実と論争』未来社、2005年、図書館有り
木佐芳男『<戦争責任>とは何か:精算されなかったドイツの過去』中公新書、2001年、図書館有り
藤原帰一『戦争を記憶する:広島・ホロコーストと現在』講談社現代新書、2001年、図書館なし
佐藤卓己『八月十五日の神話:終戦記念日のメディア学』ちくま新書、2005年、図書館なし
佐藤卓己、孫安石編『東アジアの終戦記念日:敗北と勝利のあいだ』ちくま新書、2007年、図書館なし
ユーロ、EU経済に関するもの
田中素香『ユーロ:危機の中の統一通貨』岩波新書、2010年、図書館あり
日本経済新聞社編『ユーロが危ない』日経ビジネス文庫、2010年、図書館あり
白井さゆり『ユーロ・リスク』日経プレミアシリーズ、2011年
田中素香『拡大するユーロ経済圏:その強さとひずみを検証する』日本経済新聞出版社、2007年
デイヴィッド・マーシュ著、田村勝省訳『ユーロ:統一通貨誕生への道のり、その歴史的・政治的背景と展望』一灯舎、2011年
原発、環境に関するもの
吉田文和『脱原発時代の北海道:これからのエネルギーの話をしよう』北海道新聞社、2012年
片野優『フクシマは世界を変えたか:ヨーロッパ脱原発事情』河出書房新社、2012年
大島堅一『原発のコスト:エネルギー転換への視点』岩波新書、2011年
若尾祐司、本田宏編『ドイツ原子力政策史:脱原発の選択』昭和堂、2012年
吉見俊哉『夢の原子力』ちくま新書、2012年
脇阪紀行『欧州のエネルギーシフト』岩波新書、2012年
開沼博『「フクシマ」論:原子力ムラはなぜ生まれたのか』青土社、2011年
堀江邦夫『原発労働記』講談社文庫、2011年(『原発ジプシー』現代書館、1979年、の復刊本)
吉田文和『グリーン・エコノミー:脱原発と温暖化対策の経済学』中公新書、2011年
瀧澤美奈子『地球温暖化後の社会』文春新書、2009年
池上彰、手嶋龍一『武器なき”環境”戦争』角川SSC新書、2010年
【参考】深井有『気候変動とエネルギー問題:CO
2
温暖化論争を超えて』中公新書、2011年
【参考】ヴァーツラフ・クラウス『「環境主義」は本当に正しいか? ― チェコ大統領が温暖化論争に警告する』日経BP社、2010年
【参考】黒木亮『排出権商人』講談社、2009年[フィクション]
ロシア、エネルギー問題に関するもの
塩原俊彦『パイプラインの政治経済学:ネットワーク型インフラとエネルギー外交』法政大学出版局、2007年、図書館なし
酒井明司『ガスパイプラインとロシア』(ユーラシア選書)東洋書店、2010年、図書館なし
酒井明司『ガスプロム:ロシア資源外交の背景』(ユーラシア・ブックレット)東洋書店、2007年、図書館有り
田畑伸一郎編『石油・ガスとロシア経済』北海道大学出版会、2008年、図書館有り
武田善憲『ロシアの論理:復活した大国は何を目指すか』中公新書、2010年、図書館有り
岩下明裕『北方領土問題:4でも2でも、0でもなく』中公新書、2005年、図書館有り
農業およびEU共通農業政策(CAP)に関するもの
村田泰夫『戸別所得補償制度の衝撃:「作らせない農政」から「作らせる農政」への転換』農林統計協会、2010年、図書館なし
篠原孝『EUの農業交渉力:WTO交渉への戦略を練る』農山漁村文化協会、2000年、図書館なし
ローズマリー・フェネル『EU共通農業政策の歴史と展望:ヨーロッパ統合の礎石』農山漁村文化協会、1999年、図書館なし
農業問題研究学会編『グローバル資本主義と農業:世界経済の現局面で農業問題研究の「現代性」と意義を問う』筑波書房、2008年、図書館有り
『民主党農政 : 政策の混迷は解消されるのか』(日本農業年報 56号) 農林統計協会、2010年、図書館なし
【参考】浅川芳裕『日本は世界5位の農業大国:大嘘だらけの食糧自給率』講談社+α新書、2010年、図書館なし
ロマに関するもの
水谷驍『ジプシー』平凡社新書、2006年、図書館に購入要請済み
関口義人『ジプシーを訪ねて』岩波新書、2011年
イザベル・フォンセーカ『立ったまま埋めてくれ:ジプシーの旅と暮らし』青土社、1998年、図書館なし
コラム・マッキャン『ゾリ』みすず書房、2008年、図書館有り
加賀美雅弘『「ジプシー」と呼ばれた人々:東ヨーロッパ・ロマ民族の過去と現在』学文社、2005年、図書館なし
イアン・ハンコック『ジプシー 差別の歴史と構造:パーリア・シンドローム』彩流社、2005年、図書館なし
デーヴィッド・クローウェ『ジプシーの歴史:東欧・ロシアのロマ民族』共同通信社、2001年、図書館なし
アンガス・フレーザー『ジプシー:民族の歴史と文化』平凡社、2002年、図書館有り
ウィル・キムリッカ『多文化時代の市民権:マイノリティの権利と自由主義』晃洋書房、1998年、図書館有り
中東欧諸国の映画
アンジェリーナ・ジョリー監督《血と蜂蜜の国で》2011年(日本公開予定)(ボスニア内戦を扱った映画)
サリー・ポッター監督《耳に残るは君の歌声》イギリス・フランス、2000年
ヤン・スヴェラーク監督《コーリャ:愛のプラハ》チェコ、1996年
エミール・クストリッツァ監督《アンダーグラウンド》フランス、1995年
ダニス・タノヴィッチ監督《ノー・マンズ・ランド》フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロヴェニア、2001年
デニス・ガンゼル監督《ウェイヴ》ドイツ、2008年
《Ghetto No.1》チェコ、(日本語版なし)
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督《善き人のためのソナタ》ドイツ、2006年
ヴォルフガング・ベッカー監督《グッバイ、レーニン!》ドイツ、2003年
ヤン・フジェベイク監督《この素晴らしき世界》チェコ、2000年
イジー・メンツェル監督《英国王給仕人に乾杯!》チェコ、2007年
フィリップ・カウフマン監督《存在の耐えられない軽さ》アメリカ、1987年
アンジェイ・ワイダ監督《カティンの森》ポーランド、2007年
ヤーン・カダール、エルマル・クロス監督《大通りの商店》チェコスロヴァキア、1965年
レニ・リーフェンシュタール監督《意志の勝利》ドイツ、1934年
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